個人事業主が行うふるさと納税のメリットとデメリット
2024.10.30 更新
目次
ふるさと納税には、実質2,000円で返礼品がもらえるメリットがあります。ただ、会社員と個人事業主ではふるさと納税を行う際の手順が異なるため注意が必要です。
今回は個人事業主がふるさと納税をすることで得られるメリットや注意点についてお伝えします。
ふるさと納税の制度について
ふるさと納税は地方自治体へ一定額を寄附できる制度で、2008年5月からスタートしました。制度名に「納税」と入っていますが実際には納税するわけではなく、寄附した金額から2,000円引いた額を所得税や住民税から控除されるシステムになっています。
個人事業主が行うふるさと納税のメリット
まずは、個人事業主がふるさと納税をすることのメリットをご紹介します。
返礼品がもらえる
上限額に気を付けて寄附をすれば、自己負担額2,000円で返礼品がもらえます。
ふるさと納税の返礼品には食料品や日用品をはじめ、さまざまな魅力的な返礼品が用意されています。
通常の確定申告の手続きで利用できる
個人事業主が通常行っている確定申告の手続きの範囲内で行えます。
所得税の確定申告の際に「寄附金控除」という欄に記入するだけで利用ができます。
個人事業主が行うふるさと納税のデメリット
次に、個人事業主がふるさと納税をする際のデメリットについて解説します。
上限額が把握しづらい
ふるさと納税での控除額は、それぞれの所得額に応じて上限が決められています。
会社員と違い、収入が変動しやすい個人事業主は、上限額を把握しづらい可能性が高いため注意が必要です。
手元の資金は減る
ふるさと納税は必要な手続きを行えば、寄附した金額から2,000円を差し引いた額が控除されます。
ちなみに、よく言われている「節税効果」はありません。あくまでも「翌年度の税金の前払い」をすることで、返礼品をお得に購入できる制度ですので、一時的に手元の資金は減ります。
ワンストップ特例制度が使えない
確定申告を行わない会社員などが利用できる「ワンストップ特例制度」という制度があります。
ワンストップ特例制度とは「寄附する自治体が5ヶ所以内の場合、確定申告ではなく自治体への申請書提出で控除が受けられる」というシステムです。
個人事業主は原則として確定申告を行う必要があり、この制度の対象外となります。
上限額の計算方法と控除される税金
自己負担額2,000円で個人事業主がふるさと納税をする際は、上限額がいくらになるのか計算する必要があります。上限額の計算方法と控除される税金について解説します。
上限額の選定方法
ふるさと納税の上限額は、その年の総所得や家族構成などから決まります。計算方法は以下の通りです。
住民税所得割額×課税所得に応じた変数+2,000円=ふるさと納税の上限額
ただし、その年によって所得額が変動しやすい個人事業主にとって、正確な数字を算出することは難しいため、次の項目で上限額の目安について解説します。
上限額の目安
上限額の目安を把握するにはまず、住民税決定通知書を確認します。
住民税決定通知書は毎年5〜6月に届く書類で、前年の住民税所得割額が記載されています。その記載されている住民税所得割額の2割を、上限額の目安と考えましょう。
ただし、あくまでも前年の数字を目安にしたものとなるため、今年の所得が大きく変動している場合は上限額の目安ぎりぎりではなく、余裕を持った金額での寄附をおすすめします。
所得税
所得税に関しては、寄附金額に応じた金額がその年の所得税額から控除されます。
控除される金額の計算方法は以下の通りです。
ふるさと納税の寄附金額−2,000円×所得税の税率
所得税の税率は所得額によって変動します。
住民税
住民税の場合は基本分と特例分に分けて、翌年の住民税から控除されます。
住民税控除額の計算方法は以下の通りです。
基本分 : (ふるさと納税の寄附金額−2,000円)×10%
特例分 : (ふるさと納税の寄附金額−2,000円)×(100%−10%(基本分)−所得税の税率)
まとめ
個人事業主がふるさと納税をする場合、毎年行っている確定申告の書類の必要項目に追記するだけで、返礼品がもらえるメリットがあります。
ただし所得の変動が大きい場合は、想定される上限額ギリギリではなく余裕を持った金額での寄附を行いましょう。