税務調査に入られやすい法人の特徴とは?
2024.12.14 更新
目次
税務調査は資料の準備、精神的な部分で負担となり、できれば避けたいと考えるものです。
そこで今回は、税務調査の対象になりやすい会社の特徴や、チェックされるポイントなどについて詳しく解説します。
税務調査とは?
一般的に税務調査というのは任意の調査のことで、納税者の同意が必要となります。そのため、悪質な不正が疑われる場合を除き、無予告で調査に入った場合でも同意がなければ調査が実行されることはありません。
また、税務調査は個人事業であれば9月~11月頃、法人であれば決算月から3か月~6か月間のあいだに入る可能性が高いといわれています。
税務調査に入られやすい法人の特徴
税務調査は、毎年すべての企業に対して行なわれるわけではありません。
税務署が調査対象を選定する方法は、会計データ上に異常値がある場合には、アラートが出る仕組みになっており、アラート数が一定数以上になると調査対象候補として選定されます。
また、事業内容や過去の調査状況、申告の有無、売上などによっては、通常よりも税務調査に選ばれやすいということもあります。
そこで、税務調査の対象になりやすい法人の特徴を以下にご紹介します。
不正が多い特定の業種
国税庁の「実地調査の状況」によれば、風俗業や飲食店、廃棄物処理業、中古品小売業、土木工事業などの業種では、不正発見の割合が顕著に高いことが報告されています。
これらの業種に対しては、税務署が特に注意を払っているといえるでしょう。
売上や利益に大きな変動がある企業
売上や利益が急激に変動する企業も、調査の対象となりやすい傾向があります。
特に、黒字から赤字への転換や利益の急増(減少)などのケースに対して、税務署は注意を払っています。
過去の税務調査で指摘を受けた企業
過去に税務調査で指摘を受けた企業は、申告内容について特に厳しく監視されます。
過去の指摘事項を遵守しているかどうかが問われるため、再度の調査の対象となりやすいです。
売上が増加した割に利益が少ない
売上が増加していても、利益が変わらない、利益の伸び率が小さいといった場合には、申告ミスや意図的な利益の過少申告が疑われやすくなります。
また、税務署ではさまざまな企業の売上や利益を把握しており、業種ごとに詳細なデータを保有しています。
したがって、同業他社と比較して利益率が低い場合はミスや不正を疑われ、税務調査の可能性が高まるといえます。
経費の申告が多い
事業で発生したさまざまな支出を経費に計上できますが、経費の申告が多いと税務調査の対象になりやすいといえます。
事業に関係ない出費まで経費に計上していると、税務調査が行われたときに修正申告の指導を受けることになります。
友人と食事をしたときの飲食費や、事業と関係のない物品の購入費などは経費に計上できません。
プライベート用と事業用との線引きが難しい項目の経費計上について調査が行われる傾向があります。
顧問税理士がついていない
税理士は税務の専門家です。申告書の作成・提出も依頼できるので、顧問税理士がついていれば正確な税務関係書類を作成できます。
反対に、顧問税理士がいなく自身で作成した書類には申告内容の不備や記入ミスが発生しやすいことから税務調査の対象になりやすくなります。
また、税務調査の対象となった場合にも、顧問税理士がついていれば税務調査への対応や立ち会いを依頼できます。税務調査に対する心強い味方が作れる点も、顧問税理士のメリットです。
税務調査が入らないための対策
税務調査が入らないための対策について以下に解説します。
正しい記帳入力を行う
会計ソフトを導入し「発生主義」による正しい帳簿の入力方法を覚えることで記帳によるミスを防ぐことができます。
帳簿を付ける方法として「現金主義」と「発生主義」がありますが、
現金主義は、現金のやり取りや預金の入出金のタイミングで記帳する方法で、発生主義は、収入や支出の発生が確定した時点で記帳をする方法のことをいいます。
法人・個人事業主のどちらの場合でも原則として「発生主義」で処理することが求められます。
記帳を付けるときは、発生主義での処理を意識して、収入や支出が発生した日に計上するようにしましょう。
適正な経費計上を行う
調査が入らないようにするためには、適正な経費計上を行うようにしましょう。
申告内容に関連する領収書などの資料は必ず保存することを徹底してください。
税務調査が入ったときに、申告書類や日々の記帳について税務署から指摘を受けることがあります。
そのようなときも、資料や領収書のデータがあれば、納得のいく説明ができます。
また、売上原価や人件費、外注費など、税務調査で見られやすい項目については、決算時に税理士にしっかり確認してもらいましょう。
税理士に月次監査をしてもらう
調査が入らないようにするためには、申告漏れや申告数値に誤りがないよう徹底しましょう。
申告書類に不備があると、内容に疑念が生じ税務調査を受ける可能性が高まります。
正確な申告を行うためには、日々の会計ソフト入力を正しく行うこと、年に1回決算を行うのではなく、月次決算を行い毎月数字を締めること、税理士から月次監査(毎月の会計ソフト入力内容のチェック)を受けることが欠かせません。
年に1回の本決算でしか数字を締めていない場合、月次監査を受けていないため、ミスが発生するリスクが高まります。
そのため、税務調査官も税理士の関与・監査頻度を必ず確認します。(年1回、年4回、年12回等)
売上や計上漏れを防ぐため、入出金があったら即座に処理するなど、税理士と一緒に日頃から適切な会計処理を行える仕組みを整えて、毎月数字を締めて監査を受けるようにしましょう。
まとめ
税務調査は、税務署が申告内容が正しいかどうかを確認するための調査です。
上記に当てはまる法人は調査対象になりやすいといえるでしょう。
税務調査の対象になるのをできるだけ避けるには、正しい記帳入力を行う、適正な経費計上を行うよう心がける必要があります。
また、顧問税理士を見つけることで記帳入力の確認、申告書類の作成を依頼できるだけでなく、税務調査の対象となったときも対応について相談できるのでおすすめです。