業務改善助成金とは?
2025.04.30 更新
目次
業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引き上げ、生産性向
上に資する設備投資等を行った場合に、その設備投資等にかかった費用の一部(最大600万円)を助成する制度です。
本記事では業務改善助成金の手続きの流れについて、詳しく解説します。
対象事業者
以下の3つの要件を全て満たす事業者が対象となります。
- ①中小企業・小規模事業者であること(大企業と密接な関係を有する企業でないこと)
- ②事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
- ③解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと
手続き① 申請書類の作成・提出
対象事業者は事業場内最低賃金の引き上げ計画と設備投資等の計画を事業場(工場や事務所などの労働者がいる)ごとに交付申請書・事業実施計画書を作成し、事業所管轄の労働局へ提出します。
申請書には、事業実施計画や賃金引き上げ計画を添付します。
事業実施計画には、生産性の向上等の効果が有効であることを示す理由、具体的な内容の記載が必要です。
賃金引上げ計画
以下の表に基づいて事業場内最低賃金を引き上げる計画書を作成します。
※表が見切れている場合は右にスクロールしてください。
コース区分 | 事業場内最低賃金の引き上げ額 | 引き上げる労働者数 | 助成上限額 | |
---|---|---|---|---|
右記以外の事業者 | 事業場規模30人未満の事業者 | |||
30円コース | 30円以上 | 1人 | 30万円 | 60万円 |
2~3人 | 50万円 | 90万円 | ||
4~6人 | 70万円 | 100万円 | ||
7人以上 | 100万円 | 120万円 | ||
10人以上 | 120万円 | 130万円 | ||
45円コース | 45円以上 | 1人 | 45万円 | 80万円 |
2~3人 | 70万円 | 110万円 | ||
4~6人 | 100万円 | 140万円 | ||
7人以上 | 150万円 | 160万円 | ||
10人以上 | 180万円 | 180万円 | ||
60円コース | 60円以上 | 1人 | 60万円 | 110万円 |
2~3人 | 90万円 | 160万円 | ||
4~6人 | 150万円 | 190万円 | ||
7人以上 | 230万円 | 230万円 | ||
10人以上 | 300万円 | 300万円 | ||
90円コース | 90円以上 | 1人 | 90万円 | 170万円 |
2~3人 | 150万円 | 240万円 | ||
4~6人 | 270万円 | 290万円 | ||
7人以上 | 450万円 | 450万円 | ||
10人以上 | 600万円 | 600万円 |
※<事業場内最低賃金とは?>
事業場で最も低い時間給を指します。
(ただし、業務改善助成金では、雇入れ後6か月を経過した労働者の事業場内最低賃金を引き上げてい
ただく必要があります。)
事業場内最低賃金の計算方法は、地域別最低賃金(国が例年10月以降に改定する都道府県単位の最低賃金額)と同様、
最低賃金法第4条及び最低賃金法施行規則第1条又は第2条の規定に基づいて算定されます。
設備投資等の計画
助成対象事業場において、生産性向上に資する設備投資等(以下のようなもの)を導入する計画書を作成します。
なお、以下の物価高騰等要件に該当する場合はパソコン等や自動車の一部も助成対象となります。
(パソコン等は新規導入に限ります)
【物価高騰要件】
原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化等の外的要因により、
申請前3か月間のうち任意の1か月の利益率が前年同月に比べ3%ポイント以上低下している事業者。
※表が見切れている場合は右にスクロールしてください。
経費区分 | 対象経費の例 |
---|---|
機器・設備の導入 | ・POSレジシステム導入による在庫管理の短縮 ・リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮 |
経営コンサルティング | 国家資格者による、顧客回転率の向上を目的とした業務フローの見直し |
その他 | 顧客管理情報のシステム化 |
手続き② 生産性向上計画の実施・最低賃金の引き上げ
交付決定を受けた後に、事業実施計画書の内容に沿って、生産性向上にかかる取り組みを実施していきます。
ここで設備投資を実施します。
なお、賃金の引き上げについては下記をご参考ください。
※表が見切れている場合は右にスクロールしてください。
申請期間 | 賃金引き上げ期間 | 事業完了期限 | |
---|---|---|---|
第1期 | 令和7年4月14日~ 令和7年6月13日 |
令和7年5月1日~ 令和7年6月30日 |
令和8年1月31日 |
第2期 | 令和7年6月14日~ 申請事業場に適用される地域別最低賃金改定日の前日 |
令和7年7月1日~ 申請事業場に適用される地域別最低賃金改定日の前日 |
令和8年1月31日 |
手続き③ 報告書の提出
上記にて実施した取り組みの経費支払が完了した後は、以下の事業実績報告書を労働局に提出します。
- ・業務改善計画の実施結果
- ・助成金対象経費の支払結果
- ・賃金引き上げ状況
提出期限は、事業完了日から起算して1ヵ月を経過する日、
または翌年度4月10日のいずれか早い日までとなります。
助成金支給の流れ
事業場所在地を管轄する都道府県労働局に対し、所定の様式で交付申請を行っていただきます。
労働局による申請内容の審査を経て交付決定がなされたら、申請内容に沿って事業を実施してください。
事業完了後、労働局に事業実績報告と助成金支給申請を行っていただくと、労働局による報告内容の審
査を経て、助成金が支給されます。
※ 交付決定前に助成対象設備の導入を行った場合は、助成の対象となりませんのでご注意ください。
交付申請
交付申請書・事業実施計画書等を都道府県労働局に提出
交付決定
交付申請書等を審査の上、通知
事業の実施
申請内容に沿って事業を実施
(賃金の引き上げ、設備の導入、代金の支払)
事業実績報告
労働局に事業実績報告書等と助成金支給申請書を提出
交付額確定と助成金支払い
事業実績報告書等を審査し、適正と認められれば交付額の確定と助成金の支払を実施
助成金受領
ここで助成金が振り込まれます
まとめ
業務改善助成金は期限内までに申請書類をしっかり作成することが最も重要となります。
スタ-トアップサポート総合会計事務所では、補助金・助成金に精通した税理士、中小企業診断士が在籍しており、しっかりサポートさせていただきます。
先ずは初回面談は無料ですのでご遠慮なくご相談ください。